TOP 1-100 101 - 200 201 - 300 301 - 400 401 - 500
ダム日記6(ダムはクリーンか?)←  1995年 2月 24日  →ダム日記8(ダムと自治)

∞∞ダム日記7(治水の誤算)∞∞

2月24日

大きな図書館へ行って、建築工学などの棚でじっと目を凝らすと、「国が川
を壊す理由」「ダムと和尚」「川の思想」などダムに反対する千五百円前後
の本に混じって、絵や図入り、カラー写真入りで、ダムの美しい姿や工法、
利水事業やその歴史を紹介する豪華な本が並んでいます。一冊四、五千円も
する本、一体誰が買うのかなぁと、心配なって、出版社を見てみると、建設
省、となっていて「なあんだ。私たち(税金)かぁ」と思ったりしてしまい
ます。(^,^;)

余談はさておき、昨日「ダムはクリーンでない」に感情を傾けてしまったの
で、少し反省と変更をして、建設省の立場、言い分をご紹介します。

<<治水と利水 洪水と渇水>>

ダムを発電や工業用水のために造る時代が過ぎ、建設省の現在の立場は、

1、「余っている時の水を貯めて足りないときに出す」渇水対策
2、「雨が沢山降りそうな時にダムを空にしておいて洪水に備える」洪水対策

の二つです。

ダムがこのような目的でできても、実際にその対策(具体的に言えば放水量
の判断)をするのは人間なので大変です。天気が相手ですから、いつ雨が降
るかなんて、本当には予想がつかない。

天気もダムも相手が大きなだけに、判断ミスによる結果は重大です。
例えば、水が足りなくなりそうな季節に、水を一杯にしておいた時、大雨が
降って慌てて一気に放水したのでは、下流で洪水が起きてしまいます。放水
しなければ、こんどはダムが溢れるような格好で上流が洪水に遭います。
例えば、降りそうだからと空にしていて降らなかったら「渇水」となってし
まいます。

前者を少し掘り下げましょう。放水すれば下流が洪水、放水しなければ上流
が洪水。どちらを犠牲にするか? そういう作為はなくても、結果的にそう
なりえるので、ダムの放水をする係の人は、大雨が降るたびに、胃の痛む思
いでしょう。

洪水の恐怖に拍車をかけているのは、山から出る土砂です。
普通なら川の流れで海へ出て砂浜を形成しますが、ダムにせき止められる形
で、ダム自身の中に貯まっていきます。
(関連事項:砂浜海岸の侵食問題が起きている地方は、ダムの影響だと思っ
て間違いありません。比較的近くに大きめの川があって、その上流を辿れば
必ずダムに当たるはずです。あ、失礼。上流をたどってダムに当たらないの
は日本でただ2本だけでしたっけ! とにかく、川からの砂の供給が止るの
で、海岸の侵食が始まります。その侵食を防ぐため、コンクリートの塊を海
にほうり込むなどの対策を取ると、海の生物が迷惑をします。コンクリート
から解け出す成分が悪影響を与えるのです。その生物達を大好物とする人間
も迷惑します。計らずも、川は単なる水循環の通路ではない一例が出てきて
しまいました。すべては思わぬ所でつながって循環しています)

ダムに土砂がたまれば、当然、貯水機能、洪水調整機能が低下します。
一見ビクともしないダム。(関西大震災の後、震源地から一番近いダムを視
察に行った新潟大学の大熊孝教授によれば、「ヒビひとつない状態で安心し
た」とのことです。--2月15日「川と開発を考える」のパネルディスカッショ
ンより--)

しかし、潜ってみれば水深わずか4メートルになっているダム、容量の80
〜90%が土砂に埋まっている話をテレビや週刊誌でご覧になった方もいら
っしゃるかと思います。

ダムができることによってたまる土砂は、実はダム上流部に洪水が起きやす
くなる原因でもあります。

川の上流から水と一緒に流れてくる土砂は、ダム手前で、急に水流が衰える
ので、そこに沈下します。すると、その土砂によって河底が上がる(川が浅
くなる)ので、ちょっとの水で、すぐに川が溢れるようになります。
これは人災に絡みつく自然のワナとも言えるもので、いかな建設省と言えど
も、最初は予想はつかなかったでしょうから(あるいはついていたのかも。。。)、
建設省、あるいはダムを造った事業体(建設省の他に、電源開発株式会社、
農林省、水資源開発公団などがあります)のせいではないとして、そして最
初は仕方がないとして、そういう事例があがってきてなお、「ダムの上流部
に洪水が起きやすくなる」という説明を新規のダム建設地において説明する
ことをこれまでしてこなかった罪は重大だと思います。

下流に洪水は起きなくなっても、ダム周辺に洪水が起きるのでは、治水=洪
水対策ができているとは言えません。

一方、建設省が、山と森を切り開いて、発電、工業用水のためにダムがいら
なくなってなお「治水と利水」の名の元にダムを造ろうとしてきたこの20年
の間に、林野庁がやってきたことをちょっとご紹介しましょう。

20年前の朝日新聞を漁っていて見つけた記事です。

昭和50年1月5日付け。
タイトル:水確保へ”緑のダム”作戦
内容:林野庁が、森林行政の重要な柱として、水源涵(かん)養機能を育て
るために昭和50年度から植林を始めるというもの。

結果的に山の保水力をあげることになったため、「洪水対策」にもなった。
それが明らかになった今でも、森林をむざむざ壊すダム建設を、やめないの
には、どういう判断が働いているのだろうか、真剣に尋ねたい気持ちです。

まさのあつこ