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∞∞ダム日記11(洪水確率)∞∞

3月3日(お雛祭)
ダム日記11回目。風流なお雛さまの日を過ごしたいもんだと思いつつ、今
日もバタバタと一日が過ぎてしまいました。

【ホトホト困る洪水確率の話】
建設省が主張する木頭村の細川内ダム建設の理由のひとつは「洪水調節」で
あるというお話は前にしました。

では、建設省が「洪水調節」という言葉を使うときの背景のことを今日はお
話します。
そこには「超過確率」「100年確率洪水」という言葉がチラチラします。これ
は一般にはわかりやすく「100年に1回おこる洪水」という表現をするそうで
すが、意味は違うと書いてあります。

ダムの作り方を絵や図入りで説明した建設省出身の方々の書いた本を見ると、
この「洪水確率」のことがのっています。

ひとつの例をあげましょう。この本では、まず、サイコロ、ルーレット、コ
インの裏表の確率の話が出ます。「確率」の説明だと思いますが、パスカル
の三角形の話や2項分布の話まで出てきて、頭がクラクラしてきます。この
3日間、日記をアップできなかったのも、この確率の話を生真面目に理解し
ようと、本を前にウンウンうなっていたためです。情けない話ですが、どう
しても理解できません。

仕方がないので、いきなりですが、洪水確率の公式をご覧にいれます。
(事前の告白:数学オンチ、機械オンチなもので、本に出ている通りの分母
と分子に分かれたチャンとした公式が書けません。この際、盛大に笑ってや
ってください。)

fの縦にひょろ長くて横棒がない奴(x)=ルート2πσ分の1かけるeー(2
σ二乗分の(xーμ)二乗)
(ー∞<x<∞)

という代物なんです。

これは正規分布というグラフで表すこともできるのですが、これがまた曲者
で、数学のセンスがない私にはトント分かりません。

文章中にはそのグラフについて、洪水のデータを並べると大体こんな形にな
る、という説明しかないのです。肝心だと思われる、「どんなデータをどん
なふうに処理するとこうなる」という説明がありません。

ほどほどに諦めて別の項に行きました。今度は、「計画の洪水量を決める」
という項があり、今度はこの国語が理解できなくて、頭をひねりました。一
般に確率計算を行って、それを決めるそうなのですが、「洪水の量」って何
だろうという疑問に頭が引っ掛かってそれどころではありません。
よく読むと、「洪水量」は「水位」「流量」「降水量」で判断する、とあり
ます。

ただし、「水位」は結果で、「流量」は資料が少ない、結局、「降水量」か
ら流量と水位を計算して河川の改修計画をつくる、とあります。うーむ。
それで、結局、「洪水の量」って、なんのこと? と振り出しに戻ってしま
います。

ま、とにかく、先出の公式やら、グラフを使って、確率計算のようなものを
行い、超過確率1/100年(100年に一回洪水が起こる確率のこと)とか1/200年
(200年に一回洪水が起こる確率)を求めるらしいのです。

ところが、これだけ、懇切丁寧(肝心の説明は抜けて、あるいは抜かしてあ
りますが、紙面だけはたっぷり)に説明した後、突如、洪水の起こる確率と
して、大きく結論が出てくるのです。

100年に一回おこる確率63%
50年に1回おこる確率40%
100年に2回おこる確率26%
10年に1回おこる確率10%

日本全国津々浦々、日本狭しと言えど、様々な気候、地形、降水量があるに
も関わらず、結論はこれ。
すると、あれこれデータを分析して、計算して、どうのこうのと数学と国語
で頭を悩ませてくれたあれは何だったんだろうと、狐につままれたような気
分が残りました。

それだったら、最初から「大体100年に一回くらいは洪水が起きても不思
議ではないからダムが要る」と言ったほうがまだ簡単です。そこからさっと、
議論に移れる。例えば・・・

【議論その1】100年に一回起きるか起きないか分からないものを防ぐために、
寿命が数年から数十年と言われるダムに大金をかけ、自然を壊してまで造る
必要があるかどうか、不合理ではないかどうか。

【議論その2】同じデータと資金を使って、ダムを造る以外に洪水を防ぐ方
策を立てることができないか。
例えば、補助金を出して高床式の家を立てさせる等(洪水が起こる地方で家
が高床式になっている一帯をオーストラリアで見ました。日本にもそういう
文化が残っている地方があったと思うけれど、こういう昔ながらの知恵は脈
々と受け継ぎたいですね)、代替案がないことはない。

こういう議論に移らないのは何故だろう。それは目的が「洪水対策」ではな
いからではないか。先に「ダム建設」という結論があるからではないか。

疑問を持つ人と対話を噛み合わせようとしない建設省に対しては、こういう
憶測、推測、断定がされてしまいます。