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∞∞ダム日記14(あばかれる真実)∞∞

3月11日
先日日曜日に参加した長野シンポジウムの疲れ(夜行列車で月曜の朝帰京し
てそのまま仕事というスーパーウーマンを演じてみましたが、週が進むにつ
れてヘロヘロになってしまいました)と興奮がおさまってきましたので、今
日はやっとその報告です。

【浅川ダムの場合】
私と「木頭村の細川内ダムの件ちょっと待った、建設省!」との付き合いは、
毎日新聞に出ていた村長による寄稿を読んで、建設省に腹を立てたのが始ま
りでした。(^0^)

長野の内山卓郎さんと「浅川ダム」の付き合いは、7年前、自分の庭に作ろ
うとした6立方メートルの池を「だめだ」と止められたことが始まりでした。
内山さんがお住まいの長野盆地の西の縁(へり)は、「地すべり防止区域」
(つまり地すべりの多発地帯)に指定されていて、そこで池を作ることは
「地すべり防止法第18条」に反するというのです。

平成5年度版「河川六法」(こんなものが世の中にはあるんですねぇ。)か
らその「18条」とやらを抜いてみましょう。
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(行為の制限)
第十八条 地すべり防止区域内において、次の各号の一に該当する行為をし
ようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
一 地下水を誘致し、又は停滞させる行為で地下水を増加させるもの、地下
水の排水施設の昨日を阻害する行為その他地下水の排除を阻害する行為(政
令で定める軽微な行為を除く。)
二 地表水を放流し、又は停滞させる行為その他地表水のしん透を助長する
行為(政令で定める軽微な行為を除く。)
三 のり切(まさの解説 斜面を削ることです)または切土(まさの解説 
土を削ることです)で政令で定めるもの
四 ため池、用排水路その他の地すべり防止施設以外の施設又は工作物で政
令で定めるもの(以下「他の施設等」という。)の新築又は改良
五 前各号に掲げるもののほか、地すべりの防止を阻害し、又は地すべりを
助長し、若しくは誘発する行為で政令で定めるもの
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、当該許可の
申請に係る行為が地すべりの防止を著しく阻害し、又は地すべりを著しく助
長するものであると認めるときは、これを許可してはならない。
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その時、内山さん「あれっ?」と思ったそうです。
その地域にダム計画があったのです。容量186万立方メートル。内山さん家
(ち)に作ろうとした奴の<<30万倍の池>>です。
「んな馬鹿なぁ!」
内山さん、調べ始めました。すると、出る出る!芋弦式の矛盾。

【地すべり地であることに関して】
1.浅川ダム建設予定地は、6区域289ヘクタールの地すべり地のど真ん中。
2.地質はススハナ凝灰岩とモモイロナイトという脆い種類。
3.地すべりは水に誘発されて起きる。

ここで、内山さんの心配が始まります。
「地すべりが起きる地帯で、地すべりになる原因になる水を貯めるとどうな
るだろう」
    ↓
「地すべりが起きるだろう」です。

地すべりが起きたらどうなるか、内山さんは考えてみたそうです。
ダムは山奥にあるのが定番だけど、浅川ダム予定地は住宅地からわずか1.5キ
ロメートル。次に思い出したのはイタリアのバイオントダム。

このバイオントダム、決壊したわけではないのに、雨が降って2600人が亡く
なりました。人里離れた小さな村(丁度木頭村くらいですね)が被害を受け
たのです。

原因は地すべり。ダムは壊れなかったのですが、地すべりが起きて、山が丸
ごと一個、ダムの中にドップンと落ちてきて、バッシャンと散った水しぶき
が、人間には致命的でした。大きな自然を前に、人間なんてアリンコくらい
の大きさですね。

さて、人里離れていない住宅街から1.5キロメートルの所でこれが起きたら、
という答えはもう書かなくても分かりますね。
内山さん、一生懸命反対しています。当然です。

【第18条】都道府県知事は---中略---地すべりを著しく助長するものであ
ると認めるときは、これを許可してはならない。
長野の県知事は、法律違反をしているように思えるんですけどねぇ。

内山さんの心配の種はまだあります。
1847年、この地域で「善行寺地震」が発生しました。
マグニチュード7.4、死者8,500〜12,000人、地すべり4万2千箇所。
(関西大震災はマグニチュード7.2。死者5,400人)。

証言1 赤羽貞幸(信州大学教授 地質学専攻理学博士)
「長野盆地の西の縁(へり)は活断層の密集地帯。1回に2〜3メートルずつ
500回ずれて隆起した土地です」
「地すべり地帯にダムを作ったらどうなるか実験をしてくれているようです
ね」
「どうしても(ダムを)作るってぇなら、水を貯めなきゃいいんじゃないで
しょうかね」(←じゃぁ、なんで作るんだ、と普通なら思うところですが、
建設省はフンフンと本気で聞くような気がするのは、私だけでしょうか)

本日のとどめです。腹が立ってきたので、簡単に書きます。

【頭がねじれてしまいそうな長野オリンピックがらみのカラクリ】
この浅川ダム計画。上にあげたような理由で、さすがに一度、断念されまし
た。

ところが、1989年10月、いきなり付替道路(ダムに沈む道路の代わりの道路)
工事が始まります。300本のボーリング調査をしてなお、GOサインを出せなか
った(あの、建設省がですよ)、建設を断念したその土地で、実際のダムサ
イトが決まっていない時に、です。

その1年5ケ月後、25メートル区間で文字どおりシラミ潰しのボーリング
調査を行って、ダムサイトが決められました。
茶番です。
オリンピックには道路が必要だが予算が限られている。
オリンピックの予算以外で道路を作ることはできないか。そんな発想で作ら
れようとしている地すべり地の巨大バケツです。

証言2 内山卓郎(「川を考える」実行委員会代表)
「長野裁判所に78点の証書をあげて、ダム建設差し止めの仮処分を訴えまし
た。しかし2月24日、却下されました」

国は一体何考えてんでしょうねぇ。布団をかぶって寝てしまいたくなります。