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∞∞ダム日記18(我らがビアードさん)∞∞

3月18日

さて、米国開墾局総裁ビアード氏の名前だけは何度も出していながら、彼を
囲んでの「対談」の事をまだ充分にお話ししていませんでした。
風邪の影響の残るボワボワ頭で、よもやま話さながらにお話ししておこうと
思います。

【日本でただ一人、自治体の長としてダム建設に反対する人物】
まずは、対談で、同氏を囲んだ人々のことです。
それは、日本の「環境保護団体の代表者約10人」と「木頭村の村長」でした。

その時に何とも思わなかったことで、今になって、大変なことだったのだと
考えるのは、自治体の長として参加したのが、木頭村長だけだった、という
ことです。他は市民団体の長。
木頭村は、村民の中で「反対」という声が上がり、その声を反映した自治を
行っている村。藤田村長は、村民の盾となってダム建設に反対をしている人
物。

他の地域では、前に(あばかれる真実)で書いた長野の内山さんのように、
市民が市民による市民のための反対運動を、自治体と国を相手に二重、三重
の戦いを繰り広げており、それだけに、村民と自治体が一致協力して反対を
訴えるこの木頭村に、熱い視線と声援、同時に羨望の眼差しを送っています。

【内政不干渉】
さて、シャチホコ張った「シンポジウム」の席では、日本の建設省のやり方
について意見を求められる度に、「内政干渉になってしまうことは自分の意
図することではないので」とお茶を濁していたビアード氏でしたが、、、。

対談は、日本の行政者と環境保護団体の間で行われるべき(だが行われない)
交流、意見交換の形、つまり、市民団体が自分の団体と建設省で起きている
問題を、ビアード氏に対して説明、ビアード氏が、それに対して質問やコメ
ントをするという形で行われました。

市民団体は、アメリカの開墾局の長を、なんとか仲間に引き入れたいもんだ
と、直接的な言葉ではなくても、メッセージ的には「建設省に何とか言って
ください」と嘆願するような場面がしばしばあり、ビアード氏も、四角い顏
を(失礼!)タジタジ、汗をカキカキしていらっしゃいました。「内政不干
渉」の言葉も二度までは聞きました。

【ダニエル伯父さんと日本の環境保護団体のオドロキ合戦】
しかし、小人数でこじんまりと、言わば「皆まで言うな」の雰囲気によって
段々にリラックスせずにはいられなくなり、発言に対する反応も、実にノビ
ノビと率直で、ビアード氏というより皆のダニエル伯父さんという感じにな
ってきました。

<<第一のオドロキ>>
日本側が政府の水資源計画を見せると、ビアード氏は「なんだ、1987年
のじゃないか」と不満そう。
しかし「えぇ、これが最新です」と悪びれず答えると、氏が「呆れた」とい
うように顏を横に振り、日本側が「そうだろ、そうだろ」というふうに縦に
振りながら、内心「そうか、やっぱり年々更新すべき種類のものなんだな。
アメリカはそうしているんだな」と察する。

<<第二のオドロキ>>
北海道の千歳川の湿原を守りたい人の代表者が、「北海道開発庁が計画をし
ている治水事業の建設費用は480億円で」とサラリと報告していると、ビアー
ド氏は「えっ(WHAT)?」と驚いて「FORTY EIGHT BILLION?」
今度は通訳の人が驚いて慌てて「IN YEN(円ですよ)」とビアード氏のオド
ロキを確かめる。そしてまた確信を持って「FORTY EIGHT BILLION YEN!」と
驚く。そして宣ったんです。「一体全体、480億円で何作るんだぁ?」
「さぁ、分からんですよ」憮然と答える担当者。

さ〜っと、「本当はそんなにかからないものなんだ」という雰囲気が、私達
日本人の間に広がりました。

そう言えば、そこまでの額になると、庶民には何がどうやら、分かりません。
まったく、何がどうやったら、私達の税金が480億円分使われるのか、きちん
と説明してもらいたい、ですね。

<<第三のオドロキ>>
木頭村の村長が、「ダム建設なんか始まったら15年放置されて山が荒れる
(山の手入れをする人間が、工事現場に出るから)」とその先を言おうとす
ると、また「えっ(WHAT)?どうして15年もかかるの?」とビアード氏。
また、日本人同志、キョロキョロ。「知らんですよ。道路の付替工事とかな
んとか言って色々やるんですよ」と村長がボソボソ。「へぇ。15年ねぇ。
ふーん」といたずら小僧のように目をグルグルさせるビアード氏。

<<第四のオドロキ>>
対談も終りかけになって、最後に質問、意見。つい、(本当につい)対談の
和の外で傍聴(?)していた部外者の私、手を上げてしまいました。司会者
の視線で「わっ、まずかった」と思ったのですが、ビアードさんの素朴な表
現や表情に引き込まれて、つい自分も参加している気持ちになってしまった
のです。司会者の配慮で、一番最後に回されたものの聞かせてもらえました。

「フーバーダムは建設に何年かかったんですか?」

フーバーダムとは、日本の建設省がダムを造っている最新の理由(^_^;)で、
日本のダム全部を足してもまだその容量の半分である、という巨大ダムです。
すると、「ウーン。4年だなぁ」とビアード氏。「WHAT? THAT'S IT? (えっ?
たったそれだけ?)」と私もオドロク。回りも通訳を通してドヨメク。「で
も、あれは恐慌の時に造ったから、全国からわっと人が集まってきたってこ
とはある」「何人くらい?」「うーむ。そこまでは覚えてないなぁ」

「じゃあいくらかかりました?」(この辺からは対談が終了して雑談をさせ
ていただきました。)「それも覚えてないなぁ、でもアメリカに帰ったらそ
の資料があるから」「ではFAXで質問させていただけますか?いくらかかって
何人くらいが工事に従事したかくらいの簡単な質問しか致しませんから(笑)」
「もちろんだとも」

秘書官の方にFAX番号を聞こうとしたら、あっさり、御本人が名刺を下さいま
した。驚きです。「今日は質問してくれてありがとう」と言いながら、ビア
ード氏の方から話かけて下さったことも驚きでした。

対談の感想として、ビアード氏、おっしゃっていました。

「今日、皆さんの話を聞いていて、20年前にタイムスリップしたような気持
ちになりました。丁度、20年前頃、開墾局とアメリカの環境保護団体の間で、
こうしたやりとりがありました。皆さんが今やっていることが日本でも一日
でも早く実を結びますように」