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4月4日(火)

ヲ◆かこうぜき物語◆ヲ
1968年、どぶ鼠さん達が、頭を寄せ合って相談しました。
「よし。だむを作ろう。それもかこうのところに。海の水を川の水にかえる
んだ」
「そうしよう。そうしよう」
それは「ながら川の回りで水がたりないんだよ。どうしよう」という話し合
いが始まってから8年もたったある日のことでした。

それから、さらに5年が経ちました。
なんやかやあって、水が沢山ひつようなじだいが終わりました。けれど、あ
るとき、「そうだ。あのだむを作ろう」と言ったものがおりました。たぬき
君です。どういうわけかこのたぬき君は、たぬきのくせにビーバーの王様と
してくんりんしていました。水は要らなくなったけれど、だむは作りたいと
思ったビーバー君たちは、たぬき君に贈り物をしたのです。

水はいらなくなったけれど、洪水や塩害からこま鼠君たちを守るためだと言
えば作れるよと、でまかせを吹き込んだ野豚君もいました。
1988年、相談が始まってからちょうど20年も経って、こうしてビーバ
ー君たちは喜びいさんでだむを作り始めました。

1990年、一匹のかげろうが、とつぜん、すい星のように現われました。
このかげろう君は大変はべんきょう家で、どぶ鼠の群衆の前で言いました。
「みんな、聞いてくれ。あのだむのことだけど、あんなものを作っちゃ、川
もこわれてしまうし、堤防もこわれてしまって、危ないんだよ。水はもうい
らないんだし。もっとよく勉強してみなきゃ」

その時、一匹の古だぬきが登場しました。よく見ると、あのときのたぬき君
ではありませんか。古だぬきは、かげろう君にものかげから言いました。
「そんなことを言ってると、君の羽をもいでやるぞ」
でも、かげろう君は一人っきりで叫びつづけました。
「僕は羽なんか惜しくないさ。こま鼠君のことがしんぱいなんだ。こんなじ
だい遅れのだむなんか、もうやめたほうがいいんだ」

1993年、選挙があって、古だぬきは、かげろう君と打ち死にするように
と、かげろう君の選挙区に仲間の虫けら君をもう一匹おくりました。古だぬ
きのさくせんは、まんまと成功して、かげろう君と虫けら君は羽をもぎ合う
ことになってしまい、空を飛べなくなってしまいました。

かげろう君がいなくなってしまった後は、たぬき族とどぶ鼠族、それにビー
バー族の天下となってしまいましたが、こま鼠君たちの中にもべんきょう家
で、元気のいいものたちがおりました。かげろう君よりもずっと前から、い
っしょうけんめい声をはりあげていたのに、その声はいつもかき消されてい
たのです。このこま鼠君たちの声を初めてちゃんときいたのが、かげろう君
だったのです。

かげろう君が舞台から去ってしまったあとも、こま鼠君たちは諦めませんで
した。
「やめてよ。やめてよ。そんなもの要らないんだからやめてよ」
「いらないよ。いらないよ。できたってつかわせないぞ」
「へんだよ。へんだよ。こんなだむへんだよ」
声はだんだん大きくなりました。

けれども、だむは完成してしまい、いよいよ、結論を下すときがきました。
1995年3月31日、玉虫君がでてきて言いました。
「よし、わかった。4月30日まで、話合いを続けてみよう。うまい結論が
でるかもしれない」

こま鼠君たちは、ひとまず、ほっとして、玉虫君の色を観察しています。

つづく

キャスト
こま鼠**こくみん
どぶ鼠**こっかぎいん
玉虫君**のさか君
たぬき**かねまるしん君
ビーバー**けんせつぎょうしゃ
かげろう**北川石松氏(元環境長官)

かいたひと まさのあつこ