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∞∞ダム日記41(荒涼にして)∞∞

5月7日
うちの近所に小さな八幡宮があります。小さな森をなしているので、横を通
ると夏はひんやりします。雨が降ると、そこだけしばらく地面が乾いていま
す。
一枚一枚の葉っぱは小さいけれど、せっせと土を守り、のんびりと水を地表
に運ぶ大きな役目を果たしているのですね。エライエライ。

   --ルポ後半--
久しぶりに多量の緑に囲まれ、川が刻む谷は徐々に深くなり、大満足の「ヤ
ビツ峠ー宮ケ瀬ダム行」でした。緑に見とれ、水に見とれ、砂防ダムに嫌悪
し、路傍の花をめで、キャンプ場や鱒つり場を偵察し、ヨタヨタと坂を下り、
オートバイのローリング族をやり過ごし、やっとダムサイトに到着したのは
ピッタリ正午。

ダムの湖底に沈むと思われる所には、立派な造りのプレハブの建物が4、5
練林立しています。ひっそりと人影も見えず、動くものもなく、長い時間を
かけて川が広げた谷全体が死んでいるといった感じです。

見下ろすその場所は、湖底に沈む道の代わりに付替られた道路で新品。道の
脇、視界の広がる所におかれたベンチでバナナとチョコレートをお腹に収め、
そこからその荒涼たる風景を目に焼き付けた後、宮ケ瀬ダムインフォメーシ
ョンセンターとへ行きました。(山の中にそこだけ突然、おみあげ屋さん、
レストランから展望台、公園まで、大仰な施設ができています)

【頭をひねること】
住民が起こしている「水利権許可の保留を求める請願」のおかげで、相模大
堰事業にストップがかかっている状態。

今は、従来どおり、一筋の細い川が流れているだけ。ここは相模川本流に合
流する前の小さな支流に過ぎないのです。

「こんなとこに水がどうやって貯まるというんだろう」

大きなバスタブに1ミリの細さに水を絞った蛇口から水を貯めようとしてい
るようなもんです。いつまで経っても一杯になりそうなイメージはありませ
ん。川を完全にせき止めてしまってすら(そんなことをしたら前半でお話し
した上流部も含めて生態系がズタズタです)、軽く10年や20年は一杯に
ならないだろうというような流量です。

この「どうやったら水は貯まるのか」という疑問は、インフォメーションセ
ンターの壁にあった説明書きで解けました。
「導水路」というコンクリートのパイプラインのようなもので余所から水を
流し込む計画なのです。どこからだと思いますか?
同じ相模川支流の道志(どうし)川と津久井湖(相模湖の下流にある湖)か
らです。

源流の違う、2本の川の、下流では一緒になる所からです。
道志川から毎秒最大20立方メートル。津久井湖から毎秒最大40立方メートル。
計算してみると、日量にして前者173万トン、後者344万トン。
機械で自動的に流れてくるテープを聞いていると、この導水路で水を引いて
くることを「余っている水を活用する」と言っています。

でも、宮ケ瀬ダムの計画取水量(つまり宮ケ瀬ダムで利用する水)が日量130
万トン。これでいくと、それは相模湖と津久井湖からやってくる水の4分の
1でまかなわれる計算。
ではなぜ、道志川と津久井湖、その場所で取水して利用するということがで
きなかったのでしょう? 現に「導水路」というコンクリートのパイプライ
ンで、はるばる、それぞれ8キロ、5キロという距離、水を運んでくる技術
だって持っている。
分かりません。まったく分からない。

【もっと分からないこと】
神奈川で余っている水が200万トン。