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∞∞ダム日記45(円卓会議in長良川)∞∞

5月18日の長良川円卓会議共同報告会で、「長良川河口堰建設をやめさせる
市民会議」報告した「まとめ」全文を転載します(>>許可を有難うござい
ます)。
長文ですが、目をかっぽじって、じっくり読んでくださるよう、お願いしま
す。
建設省のスタンスがよく見えます。
川を一本つぶすか、救うか、一緒に歴史の、政治の、証人になってください。
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                    長良川円卓会議(第1回〜第8回)
      一致した点,明らかになった点

第1回【防災】
1.自治体代表の伊藤仙七・長島町長と反対市民が、次の点を大臣に求める
ことで一致できた。
1)長良川河口堰周辺の、東南海地震、三河地震の各被害調査を行うこと
2)揖斐・長良両河川堤防の抜本的強化、すなわち液 状化対策及び耐震型堤
防への変更を速やかに実施すること
3)周辺活断層の活動履歴を調べること
4)天白河口断層と伊勢湾断層間の調査などを追加すること

2.調査委員の尾池教授は、「この地域は世界的に珍しい活断層の宝庫。活
断層性の地震がこのすぐ近所に起こる。プレート境界型の地震、内陸の地震
含めて15回は少なくともこの地域は被害が歴史の中に残っていると思う。そ
の履歴は学問的に調査して調べることをやってほしい。
今回の調査で活断層の典型というようなデータを出した。河口堰があろうが
なかろうが、地震に対する対応を今早くやらなければならないものととらえ
てほしい。
桑名断層系は上下にずれる典型的な逆断層。地震は連動して起こるくせがあ
る。地震が起これば桑名の町が2m位沈む。その後南海トラフの地震が連動
して起こったら大津波がくる。堤防はそれを載せている大地が沈み、さらに
液状化などで崩壊して低くなる。そういう観点をいれないと(安全性は)堤
防の高さだけで議論して
活断層が次にいつ動くのかトレンチ調査などを実施し、それが終了するまで、
ゲートを閉めて水を貯めない方がよい」と述べた。

第2回【水需給】
1.水需要の実績についてデータの確認をした。
反対市民は、1985年から1992年の7年間の水需要の動向実績はフルプランに
よる2000年の需要予測にむけての伸び率の3分の1であり、フルプランの予
測は実績から乖離していると主張。工業では出荷額は順調に伸びているもの
の水需要は伸びていないのは産業構造の変化によるもので、工業用水は今後
の需要の伸びは限られるとした。

2.建設省は、高度成長期以前に作成した旧フルプランでは非常に大きな水
需要を予測したのは事実であると認め、新フルプランにおいても予測が正し
いかどうかは疑問としながら、関係自治体の長期計画や政策目標に従ったも
のであると説明した。

3.反対市民は、負担額についてはおよそ愛知県400億円、三重県300億円、岐
阜県500億円となり、利用予定の無い工業用水分は自治体が一般会計か借金で
負担することになり、給水原価は2倍以上になると指摘した。

4.反対市民は、水需給問題については愛知県・三重県・岐阜県の責任者が会
議に参加すべきであると要求した。建設省は参加を呼びかけたが断られたと
説明した。

5.水需要に応えるために既設水利権の見直しをすべきである点について意
見が一致した。
建設省は、水源開発の手法としてダムや堰などの構造物を造るだけの施策は
考えていないと表明した。
6.反対市民の質問「急いでゲートを降ろしても、新しい取水施設はないの
ではないか」に対して、建設省は「ない」と認めた。

第3回【環境】
1.調査委員の西條教授は、「夏の渇水期で水温が非常に高いときに、溶存酸
素の限界3mg/lを割るか割らないかということは、やはり実験したかった」と
環境調査が不十分であったと述べた。

2.調査委員の奥田教授は、「汽水域で重要なのは成層状態。淡水と塩水の
濃度が徐々に変わっていたところに、非常に大きな飛躍をつくるわけで、こ
れはやはり生態系にとっては大変なことだと思う」と述べた。

第4回【塩害】
調査委員の奥田教授は「マウンドをとれば塩水くさびは今までより長くなる。
しかし、行ったり来たりで先端はぼやけたようになる。濃い塩水が底をはっ
て一挙に上流まで行くという状態にはならない。それはモニターで予測でき
る。表層は、真水が補給され、塩水の排出機構さえ備えれば塩害が起こるこ
とはない。地下水についてはモニターしてあれば十分対応できる」 「堰を
閉め切ってしまわなくても、いろいろな対策はある。堰を閉じたときの夏の
プランクトンの発生、下流側の堆積の問題なども残っている。今すぐ閉める
必要はない」と述べた。

第5回【防災】
1.大臣に提出した地震防災に関する「要望書」の内容とその意義について
検討した。
《第1回の1.1)〜4)を参照》
調査委員の尾池教授は各要求項目について科学的な意義と調査の必要性を認
めた。この中で、津波に関しては伊勢湾断層によるものより南海トラフの地
震で発生するものの方がはるかに大きい、既にこれから50〜60年続く活動期
に入っているので早く調べた方がよい、今回の活動期で地震を起こすかもし
れない5つの活断層の1つに入っていると指摘した。
建設省は1)は行う,2)は行うが時間がかかる,3)4)は重要と認識していると
回答。

2.3月31日付けの大臣コメントの第6項すなわち
「地震についての調査は堰事業との関連ではなく、地域全体の問題として活
断層の調査をするのが重要」という発言について建設省の姿勢をただした。
尾池教授は、地震防災対策の観点から建設省が広く関係機関によびかけて調
査を進めるという意思表示を評価する、とした一方、いつ次のどの断層が動
くかという見通しが得られていない以上、河口堰に水をためておいて調べる
のは不安であるという意見を野坂大臣に伝えたことを表明した。そして、
「堰事業との関連ではなく」という言葉を入れた意味はわからない、と述べ
た。

3.ブランケット工の地震に対する効果と限界について、兵庫県南部地震で
崩壊した淀川河口堤防を例に検証した。
建設省はブランケット工のある部分での堤防の被害が少ないとしたが、淀川
堤防の被害実態としてブランケット工のあるところでも堤防が沈下した事実
とブランケットに亀裂が生じている事実を認めた。

4.台風と洪水に関する災害の想定に関しては、伊勢湾台風規模の高潮高波
に対して、あるいは洪水時の流下障害物に対しての堰柱の影響について、認
識の違いが明らかになった。

5.漏水についてと河口堰が及ぼす防災上の影響については論議不十分のま
まである。

第6回【環境】
1.堰を運用した場合、 堰から上流域において 汽水域だったところが淡水
となり、それに伴う生態系の変化は間違いなく起こるであろう、という点で
認識が一致した。

2.魚道の効果については認識が一致せず、5月20日までの調査結果をまっ
て再度論議すべきであると反対市民より提案があった。

3.反対市民から、汽水域の指標として生態に注目し、専門委員を選ぶべき
であると指摘があり、建設省からは、今後、河川管理の指標として水質のほ
かに生態も採用していきたいとの考えが示された。今までの建設省の調査に
はそのようなものがなかったことが明らかになった。

4.堰を運用すると堰下流の底層は高濃度の塩水となり溶存酸素が減少する
ことが調査のデータから明らかになった。
水質が専門の西條委員からは、実験期間の不足とゲートを閉めて再度このよ
うな状態が起こるかきちんと実験をやっておく必要があるとの指摘があった。

5.堰直下流には懸濁物が堆積する可能性について問題意識をもつ点で一致
した。
反対市民は、溶存酸素の低下により分解が進まないと指摘した。建設省はD
O対策船(1艇1億円超)による局所的な溶存酸素の改善の実験を紹介した。

6.夏季の藻類の異常発生の事実がクロロフィルa量のデータから明らかに
なった。
西條委員は、もしゲートを閉めていたらそれが長期発生する可能性が大きい
ので、藻類の発生という問題に絞っても、夏の実験はぜひやらなければなら
ない、と指摘があった。西條委員からはさらに、「堰を運用するかどうかの
調査とモニタリングとは本質的に違う。今まで5年間調査してきて一番重大
だと思う夏の藻類の発生と酸素の欠乏という問題を考えると、大臣がなぜ夏
のゲート閉鎖での藻類の増殖と酸素の欠乏についての実験を含めて、それを
見て判断されるといわなかったのか非常に理解に苦しんでいる」との発言が
あった。

7.人体に与える影響について、湛水によるユスリカの異常発生と、その虫
体がアレルゲンとなるアレルギー発生についての因果関連について指摘があ
った。ユスリカの種の同定まで含めた調査の必要性を指摘した。水公団では
木曽川大堰に関連して木曽川ユスリカ研究会を63年から発足していることの
紹介があった。

8.堰が魚類に与える影響について調査が不十分である、生物の多様性ジー
ンバンクとしての観点が欠けていることの指摘があった。

第7回【塩害】
1.反対市民と建設省とで、浚渫と堰運用一体論の必然性、塩害被害とその
対策について、認識の乖離があった。

2.専門委員の奥田教授からは、「表層は水を補給すれば、稲・農業に問題
はない。明確な塩水くさびとして塩水遡上を想定するのはやりすぎ。実際に
は鉛直混合が進んでおり、昨年の渇水時でも塩水遡上は満潮時18km、干潮時13
km。塩害が出ないように取水することはできる」との見解が示された。

3.反対市民からは、岐阜県などから要望の強い治水対策の浚渫の着工を塩
分濃度を観測しながら先行実施し、各種の調査を平行して実施、様子をみな
がら運用の議論を進めて行く、という浚渫先行提案を提示した。

西條委員は第8回の会議で、浚渫を先に進めて塩水遡上は監視するという市
民からの「浚渫先行提案」は妥当と述べた。

第8回【水需給】
1.現状認識において、建設省は水源開発の過程で供給能力が需要を上回っ
ていることは厳然たる事実として「余剰分の水」があることを認めた。

2.将来の需給見通しにおいて、反対市民は「水は余っており新たに河口堰
を運用する必要はない」とし、建設省は「超先行投資として余裕を持つ必要
がある」とし、認識の違いが示された。

3.反対市民より、愛知・三重などの行政担当者を入れた水需給のシンポジ
ウムの開催と「まとめの円卓会議」の開催が大臣へむけ提案された。
西條座長は、「双方は、浚渫を行うという点でも一致したが、塩害防止の考
え方で食い違っている。何らかの「円卓会議」をやってよかったという歩み
寄りを半歩でも残せたらと思う。『まとめ』の会があればいいと思う」との
見解を述べた。