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∞∞ダム日記117(苦しみの負担)∞∞

11月18日(土)

【見えてくる姿】
今月から徳島の土建屋さんの協会(県建設業協会相生支部青年部会)が、講師を
招いて木頭村の細川内ダム計画に関する勉強を始めた。どんな意図だろう?と見
守っていた。

1回目(11/10)の講師 徳島県河川課から4人。ダム計画のビデオ「活(い)
きている那賀川」を見せたそうだ。嘘だろ〜。那賀川はすでに死んでいる。
「活(い)きている」所があるとすれば、それが木頭村の最上流部の所だけだ。
それでも村の入口にはすでに小見野々ダムがあり、ヘドロから発生するメタンガ
スがプツプツと上がってくるのをサイクリングサポート隊長北野さんは見た。
「物凄いショック受けましたわぁ。もう冬でっせ。話には聞いてましたけど、見
てもぉたらたまりませんなぁ」(サイクリングが終わって宿にて)
本当の事を語る人から話を聞かなければ、勉強にはならないのだ。

2回目(11/16)の講師 木頭村長藤田恵氏。土建屋さんから講師に質問が行く。

質問は人を表わす。その人がどこから質問を発しているのか、どこへ議論を誘導
していこうとするのかを推測することができる。

【土建屋さんの質問】
*人口が大幅に減少しないような村の振興は図れるか
*ダム建設によって工事期間中だけでも活性化を図り、その間に次代の基礎をつ
くろうという考えはないか−−−11/17徳島新聞にあった土建屋さんの発言のす
べて
この二つの質問はおそまつだ。まるで本心を隠した子供だ。バレバレだ。
「村の振興策がないなら」「ダムを作れ」と言いたいだけではないか。「ダムの
勉強会」と言いながら結局、村長を揺さぶっている図しか見えてこない。
所詮、土建屋さんの勉強会だったのだ。「木頭村揺さぶり」のための。勉強会の
ニュースを知った時は、対話の始まりとか理解の始まりを期待していたが、崩れ
た。

【苦しみの負担 】
過疎に苦しむ村など日本中どこにでもある。どうやって人口の減少を止め、振興
させていこうかと悩んでいる。木頭村だけの問題ではない。木頭村だけの責任で
はない。村長だけの責任ではないのだ。木頭村民全員が考えることであり、水源
や農業を田舎に任せて都会に住むことを選んでいる都会人も、一緒に考えなけれ
ばならない問題なのだ。
なのにダムの勉強会で、90人の土建屋さんが、小さな村の村長さんを囲んで、日
本中の、いや世界中の誰一人として、一朝一夕に解決できない問題の解答を迫る
なんて無知もはなはだしい。土建屋の立場で何ができるかを一緒に考えるならま
だしも。発想が貧困過ぎる。
苦しみの負担の発想がなければ、ダム問題は理解できない。解決するか否かは別
としても・・・。解決のことを考える時、自信がなくなる。だけど、とりあえず、
ダム建設計画を白紙に戻して、20余年を闘い抜いた村の人の晴れ晴れとした顔が
見たい。

サイクリングを終えて、先着隊5人で文化会館にゴールした時、村長、村議、そ
れに夏に会った懐かしい顔や知らない顔が、大勢で弧を描いて、拍手で迎えてく
ださった。テレビでみるといつも厳しい顔をして県や建設省に詰め寄っている村
長や議員がなんと優しい顔でニコニコしているか。報道のカメラがなかったら私
は泣き出していた。ゴールして嬉しかった。喜ぶ顔が見たくて、元気づけたくて、
木頭村のことを考えていることを知らせたくて、でも何もできない自分を表現し
ようと思ったら、サイクリングというヒョウキンな形になってしまった。それに
付き合ってくださった方が大勢いた。

今、徳島県が木頭村長と村議に「出ろ出ろ」と執拗に要請を続けているダム見直
しの審議会には、建設省によって「計画を実施しつつ」という但し書きがついて
おり、「一般には非公開」なのだ。そんな場で、「住民の意見を吸い上げる」と
いう芸当は、審議委員の半分以上を占めている推進派の人間にはもちろん、ダム
「ド素人」の学識経験者にはできない。

彼らはには苦しみの負担をする気持ちがあるのだろうか。ダムができてふるさと
が壊される悲しみの負担をしているだろうか。心から。
水が欲しい、仕事が欲しいという欲のツケだけ払わせて。

逆に土建屋さんに聞きたい。ダム以外の振興策はないのか?既存のダムの機能を
回復させる目からウロコが落ちるような技術や知恵を出せないのか?

行政屋さんに聞きたい。雇用策、振興策というなら、国家の公共事業として山を
育てる事業を行なえばいいではないか。土建屋さんは山を崩す変わりに、山を育
てる集団へと業種変えせよ、というお得意の「指導」だってできる。

まさのあつこ