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∞∞ダム日記156(壊れたレコード物語)∞∞

3月22日(金)

ヲ◆こわれたレコード物語◆ヲ
むかしむかし、れこーど君が海の向こうからやってきました。
「150ねんに一度のこうずいを防ぎます」
れこーど・ぷれーやー君がれこーど君をならす時の歌い文句でした。
「150ねんに一度のこうずいを防ぎます」
繰り返し繰り返し呪文のように聞こえてきます。
「へ〜、すごいや!」はじめてその文句を聴いたひとびとは、よろこびました。
「ぶんめいだ!ありがたい!」
ひとびとは、れこーど君に飛び付いてもてはやしました。
やがて、「150ねんに一度のこうずいを防ぎます」は、ほうんとうに150ねんに一
度のこうずいを防ぐのかどうか確かめられる前に、きく人の耳にしみこんでしま
いました。

時がたち、どこからともなく聞かされる音を、目で見て確かめる聴衆たちが現わ
れました。そして、はっと気づきました。
「あっ!このれこーど壊れてる!」
「たいへんだ!150ねんに一度のこうずいを防ぐだなんて、たった50年で壊れて
しまっているじゃないか!」
近よってしらべてみると、もっとおそろしいことがわかりました。
壊れたれこーどは一枚だけではありませんでした。
ぷれーやー君の向こう側をみてみると、なんと、何百という壊れたれこーど君が
折り重なって捨てられているではありませんか!

れこーど君をつくるために、いくつもの山や川、人のふるさとが犠牲になってい
ました。
「たいへんなことをしてしまった。たいへんなことをしてしまった」
それでもまだ、ぷれーやー君はれこーど君を鳴らし続けます。
「150ねんに一度のこうずいを防ぎます。150ねんに一度のこうずいを防ぎます」

その時です。れこーど君よりはっきりした音が聞こえてきました。
「嘘だ!嘘だ!そんなの嘘だ!50ねん経つと土砂やヘドロに埋まって使えなくな
るんだ。そんなものが、どうやって150年に一度のこうずいを防ぐことができる?
ほとんどギャンブルじゃないか!ギャンブルのために山や川やふるさとを壊さな
いでおくれよ」
しーでぃー君の登場でした。
かがくの進歩でしょうか?れこーど君より小さいけれど、すり減りません。

しかし、七色に光るしーでぃー君は、それまで誰も見かけたことがなく、聴衆は、
はじめのうち、なんだかいぶかしげでした。それほど「150ねんに一度のこうず
いを防ぎます」の呪文はひとびとの脳にしみこんでいたのです。
しかし、しーでぃー君はあきらめません。
呪文をほどくのは教育と科学、つまり「考える力」だと信じているからです。

皆さんも、捨てられたれこーど君のことを考える旅に出ますか?
れこーど・ぷれーやー君の後ろに捨てられたれたり、これから捨てられるれこー
ど君を探す旅にも?

つづく

キャスト
れこーど君**ダム
れこーど・ぷれーやー君**けんせつしょう
しーでぃー君**ダム絶対ひつよう論懐疑主義者

かいたひと まさのあつこ