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∞∞ダム日記220(民主主義と自然保護)∞∞

11月14日(木)

ダム反対運動をよく、自然保護運動と間違う人がいる。

行政側が特にそうだ。「鳥と人間のどちらが大事だ?」という言い回しで運動を
抑えようとする。長良川の時もそうだった。ちょっと考えれば治水対策になりよ
うのない河口堰の存在理由が、結局は人命を守る「治水」ということになり、こ
れで押し切られた。「人間」対「生物」という考えで、人間に軍配を上げて勝利
をもたらす。これが推進側の切り札となった。
逆に言えば「人間」対「生物」の比較がない所では「生物」が人間を守る盾にな
ることもあった。

いつからそういう闘いになったのか分からない。
そういう「すり替え」をされて、反対運動が負けたり、勝ったりしている。

そこに何か、ひっかかるものを感じてきながら、それが何か特定できない人もい
るに違いない。それは、多分、自然保護の進んだ国が、「自然保護運動」の前、
あるいは同時に「民主主義」とか「人権」とか「人種差別」とかの問題をクリア
しながら、この問題に進んできているのに対して、日本は、その変の問題がクロー
ズアップされない内に、最終的な、人権保護や平等や共生の精神の先にあるはず
の「自然保護」、つまり、人間を大切にするから生物も大切にする、自分と無関
係な人間も同じよう大切なように生物も大切だと考える、というステップを踏ま
ずに、いきなり「自然保護」に行ってしまったことによるものではないだろうか?


たとえば、熊本の川辺川を守ろうとしているSatouさんが「民主主義、民主主義」
と叫ぶのは、単にSatouさんの趣味ではなく、「自然保護」を頭ではなく、身体
で分かっているからだと思う。
Satouさんの身体と心と魂が、健全なステップを踏んでいるのだ。(Satouさんは、
今春、私が「ダム日記をお休みしまーす」と1か月ほど休んだとき、「くたびれ
たら遊んじゃいなさい。遊んじゃいなさい。」という手紙と、ご自分が川辺川で
鮎釣りをしているビデオを送ってくださった。あの時、川辺川に浸っているだけ
で上機嫌なSatouさんの姿を見てすごくホッとした(^^)。でも、あの姿から想像
すれば、こんな七面倒な解釈は「あっはは〜」と照れておしまいになるかも(^_^;))


今、改めて、ダム反対運動やその応援をしている人、あるいは推進している人全
員が、こういうステップを踏み直す必要があるのではないだろうか?

外からの「自然保護」の知識ではなく、日本の山奥からの声に耳を傾けることが、
同時進行で、動物や植物の声に耳を傾けることになるのではないか、と思う。本
来、自然に身を浸せば、人も動物も植物も大切にしなければならないことを、自
然が教えてくれるものだが、気づいた時、日本人口の4分の3以上を占める「都
会人」のそばには、もう自然はなかった。
だから山や川や海にわざわざ出かけていって教えてもらうしかない。

私も、本や知識ではなく、まず自然に教えられたクチだと思う(中南米で)。ダ
ム日記を書くようになって本や知識を詰め込んで、ようやくこんなふうに書ける
ようになるまで2年近くかかってしまった。

さて、それで、今日の本題です、と言いたい所ですが、その本題を書こうとして
思考を巡らせていたら、結構長くなってしまったので、次回にします。
次回こそは、「ダム事業関連人権調査報告」の続き「(6)岡山県苫田ダム計画・
・・子供の人権侵害」です。

ものすごい朗報もあったのですが、これも次にします。

中途半端なので、最後に最近(と言っても転載許可をいただいてからもう1か月
も経ってしまった)のSatouさんの悲しみを転載します。もちろん川辺川の話で
す。
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悲報
以前ヤマメ釣りに行った渓谷の真ん中でパワーショベルが唸りを上げていました。

流れに沿って青々として美しかった渓流の苔むした岩などどこにもありません。
真新しい砂防ダムの傍らで、谷底に土砂を落し放題の林道工事が進行中でした。
砂防ダムは既に、その土砂で半ば埋まっています。
今、この書き込みをしている時でさえ、思い出すと体が震えます。

4日間ずうっと、めまいがしてくるまで曲がりくねった山道を走りとおして、
比較的健全だと思える谷は、たったの一本しか見つけられませんでした。
この国の現実です。

                                     96/10/12(土) 18:01 かわべ(QYM01030)
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まさのあつこ