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∞∞ダム日記317(佐藤議員の話)∞∞

7月11日(金)

木頭村の応援をしていると、ご褒美のように時々「奇跡」が起きます。5日に開
いた勉強会に、佐藤謙一郎議員からおいでになると連絡を頂いた時には、「およ
よっ!」と思いました。
しかし、来ていただいたからには、と「司法と行政と立法のはざまに落ちる『公
共事業見直し』」という話に及んで、遠慮なく、ナマイキにも、国会議員の「立
法能力の低さ」と官僚の「立法補佐能力の高さ」と現状でのコントロールの難し
さについて、私自身で学習した範囲で、見解を述べさせていただきました。それ
を一部受けた形で、国会内部にいらっしゃる方として、とても深い、さらに一歩
進んだお話をいただけました。許可をいただきましたので、勉強会にいらっしゃ
れなかった皆さんと、内容をシェアしたいと思います。読みやすいようにするた
め、小見出しは勝手に私がつけました。それからお話はデス・マス調でしたが、
ダ調に縮めました。

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佐藤謙一郎議員のお話し
 1997.7.5 木頭村の未来を考える会の勉強会にて
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【木頭村と私】
衆議院の環境常任委員会の委員長をしている。3年半に、堂本議員と宇佐見議員
に連れられて木頭村に行き、大変ショックを受けた。藤田村長には激しい情熱を
感じた。当時、長良川河口堰が締められようとしている最中で、全国でも敗北に
次ぐ敗北の中で、木頭村が正念場だと思った。ここに照準を合わせなければとい
う思いだった。藤田村長ら何人かと円藤県知事を引き合わせて、市民の意見、主
張に耳を傾けて欲しいと申し入れた。
その足で飛行機で戻ってきて30分後に、徳島の国会議員から電話がかかり、「お
前は一体、何をしに行ったんだ。余計なことをするな」と電話で怒鳴られた。私
の専門は、環境問題というより政治改革で、議員の下で6年間、自民党の中で必
至にやってきた。延長線上に木頭村の問題がある。いくら上半身で政治改革を言っ
ても、下半身は、別人格だったのか、自民党を離党する非常に大きな引き金になっ
た。

【立法能力から実行能力へ】
今、一番大事なのは、物事がいったい政治の中で、どういうふうにして決まって
いくのかという意思決定の在り方を、もう一つ皆さん方と一緒に勉強していくこ
とだ。その中で、ドロドロした政治が、どういう形で運営されているかというこ
と少しお伝えできればと思う。
先ほど政野さんの方から議員の立法能力が低いという話があった。官僚と手を組
んだ与党、今の体制を維持したい人達は、官僚と手を組んで立法能力を高めてい
るわけだが、どこかで市民が中心となって、議員というものを「機能」としてと
らえていくという考え方だ大事なんだと思う。今、国会議員としてもらえるJRの
フリーパスを持っていて、これはお貸しできないが、議員が持っているもので、
皆さん方にそのまま使っていただけるものが随分あると思う。そういう所で皆さ
んのお役に立てればと思う。
先ほどお話しがあった五十嵐敬喜先生が音頭をとって見事に「河川法」や「公共
事業コントロール法案」など「立法化」はできたが、残念ながら問題なのは「立
法能力」ではなくて、法律の「実現能力」だ。そうしたものがケンもホロロに潰
されていく。例えば、議会には「つるし」という言葉がある。どんなに素晴らし
い法案を出しても、それを審議させるためには、各党の国会対策委員会で、どう
いう順番で審議させていくかを決める。つるされた側ではいつまで経っても、ど
んなに立派な法律でも審議に入れないという仕組みがある。そういう仕組みを変
えていかない限り、やはり皆様方の思いが国会で実現していかないということが
一つあると思う。
こうした国会運営上の問題がいくつかあるので、それはこれから皆さん方との議
論の中で話ができればと思う。

【「ムツゴロウ」から「公共事業」への議論へのギアチェンジの失敗】
例えば、私が先鞭をつけた諌早のムツゴロウの問題にしても、何故ムツゴロウに
頼らなければあの問題は全国区にならなかったのかを感じ取って頂きたい。「ム
ツゴロウはかわいそうだ」という組み立てで最初に表に出た。その瞬間に「タイ
や平目はかわいそうじゃないのか」という議論になってしまった。あれは長崎県
版の議論だった。長崎県版では毎日のように議論されていた。それが、新聞の全
国版には大きく取り上げられなかった。県版を全国版にしていく努力は、非常に
つらい、大事なことだ。県版を全国版にするにはムツゴロウが必要だった。全国
版になった時に、それが公共事業の無駄使いにギアチェンジ仕切れなかった所に、
この運動の一頓挫があった。不毛な議論が続いてしまった。木頭村の運動を謙虚
に勉強していけば、必ずいろんな所で起きている問題に大きな手掛かりを与えて
もらえるだろうと思う。

【環境アセスメントの反省】
しかし残念ながら、今度の通常国会でも、環境アセスメント法案も色々な理想論
と現実論の中でスクリーニングやスコーピングなどいくつかの前進はあったが、
例えば都道府県知事ではなく、市長村長まで意見がきちっと言える環境は作り出
せなかった。
また環境庁長官が事業に意見を言えるという時に、今の環境庁はほとんど免罪府
環境庁で、環境庁がこう言ったからと言って、免罪府的な発言を引き出すために
利用されているような環境庁だ。それを補強するために、環境庁長官は自分の意
見を言うときに、中央環境審議会を開いて、有識者の意見を聞いた上で物を言え
るような方法を取れないだろうかとか、それから第三者機関に任せられないかと
いった色々な前向きな議論が出された。
結果として、環境常任委員会はそれを推進する側と反対する側と同数で、委員長
の私が最終的に一票を投じて修正案を作り出せる所だったが、土壇場に来て、自
社さ連立政権の枠組みを大事にしようということで、最も審議では前向きに次ぎ
から次ぎへと環境アセスメントをこういうふうに変えようと議論をしていた社民
党が、修正案に反対に回って駄目になってしまった。
議員の中には、おそらく皆さんが話を持っていけば、非常に物分かりがよくて分
かったと言ってくださる議員さんは結構おられると思うが、実は、議員がいかに
人が良かったり理解力があったりということで議員を判断するのではなく、本当
に、「ここ」という時に決断をして、その一票を我々側に投じてくれるかどうか
を見ないといけない。

【議員立法のための努力】
議員立法の今の在り方でいくと、所属している政党の書記長や幹事長の判がなけ
れば、議員立法の発議者になれないという決まりがある。皆さん方のおっしゃる
通りですと言っても、議員立法を作ろうとたら、我が党は絶対発議者になれない
と、判をもらえなかったというケースがたくさんある。
法は、色々な期待やがんじがらめになっている所をうまく我々がすり抜けていか
ないと、皆さん方の思いが通じていかないんだなと痛切に感じている所。一人で
も多くの議員を現場に連れていって、皆さんの側に立つ議員をどう政域を犯して
でも回していけるかというのがこれからの努力目標だと思う。

【政党政治と地方議会】
その中で一番問題にしているのは、地方議会の大切さだと思う。例えば、諌早に
しても土井たか子さんが現地に行った。どうみてもおかしいと思っても、現地の
地方議会、社民党の県連が推進側に回っているということがある。ナショナル・
パーティは縦割りに出来ている。地元を拒否して中央で180度違う結論を出すと
いうことは、なかなかできない。しかし、地方にいくと、大半の政党は、首長の
与党率93%。47都道府県と12政令指定都市の首長与党率が93%を越えている。と
いうことは、首長は大統領だから、地方議会の大統領と議会はどんなに親しくて
もチェック機能はもっていなければならない。緊張関係をもっていなければなら
ない。首長に飛び込むことによって何かを得て成り立っていくというのが今の地
方議会だと思う。厳しくコントロールする場を、作っていかなければ。地方議会
が安易に首長と手を組むことによって、中央の政党がそれによって規制されてし
まうことがある。
木頭村の場合は、必至で必至で頑張って志の高さと情熱の故ここまできた。こう
した思いをどうつないでいけるか、場合によっては、首長と喧嘩をしても政党が
成り立っていけるんだというもう一つの立党案のようなものを私は見つけだした
いと思っている。
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以上、率直な話ができる議員との出会いを木頭村に感謝しました。

まさのあつこ