TOP 1-100 101 - 200 201 - 300 301 - 400 401 - 500
ダム日記329(これも青春だ)←  1997年 8月 12日  →ダム日記331(訂正大行進)

∞∞ダム日記330(ラオスと木頭?)∞∞

8月10日(日)
IRN(国際河川ネットワーク)からメコン情報が送られてくる。う〜む、とうな
る。365度、あらゆる国から、あらゆる立場の人が、この問題に関わっているか
らだ。

【アジアの山国「ラオス」のダム事業で世銀を追及するNGO達】
「国際環境法センター」「環境防衛基金」「地球の友」「国際河川ネットワーク」
「全米野生生物連盟」が世界銀行のエグゼクティブ・ディレクターJan Piercyに
出した手紙(1997年7月30日付け)をざっとまとめる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
6月30日、400万人の会員や支援者を集める「国際河川ネットワーク」「環境防衛
基金」「銀行情報センター」「地球の友」「国際環境法センター」「全米野生生
物連盟」の代表が、ラオスの大規模ダム「ナム・タム2」事業に関わる世界銀行、
 コンサルタント会社「IFC」および「ルイス・バーガー」のスタッフら約20名と
会談した。

世銀とIFCは、計画から10年経った現在に至るまで、経済・社会・環境問題に関
し懸念されている多くの問題に満足な回答をできずにいる。
NGOが問題にしているのは、事業によって影響を受ける住民(原住民を含む)と
の話し合いがないこと、住民参加が不十分であること、社会と環境に与える犠牲
が大きいこと、現在提案されている影響軽減対策が失敗する可能性が高いこと、
少数民族への補償に関して世銀の政策を確保する仕組みがないこと、ラオス政府
と国民への最低限の経済利益と高い経済リスクなどがある。またこの事業がラオ
スに経済負担を与えるという懸念は、最近発表されたルイス・バーガーの「ナム・
タム2経済影響調査」の分析によって強まった。

NGO側はまた、6月30日の会談で、ラオスにおける世銀プロジェクトの失敗率の高
さ、少数民族への補償事業の失敗率の高さ、世界的に強制移住や大規模ダム事業
に関する記録が乏しいことなどを総合すると、ナム・タム2事業は、予測されて
いる便益を達成できない可能性が高いということも通告した。こうした懸念に対
して世銀が回答できずにいることから、ナム・タム2は、環境や社会に損害を与
え、経済的に賢明とは言えないもう一つの世銀ダムとなると思わざるを得ない。
このことから、世銀が承認段階へ進んで事業を是認するのは、無責任であると確
信する。事業費の高さ、経済リスク、世界的に見ても、投資家は大規模水力発電
事業から利益を得ることがない、などを考えれば、世銀の支援がなければこのダ
ムは建設できないと考える。従って、現時点でナム・タム2を世銀が承認するこ
とに異論を唱えていただきたい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・・・・・・とまあ、以上、拙訳だが、かいつまむとこんな内容だ。


三段論法。世銀の責任者ひとりに向け、400万人の声を代表して、世銀全体の方
針に「異論を唱えろ」と訴えるやり方。このあとに、異論を唱える根拠、経緯が、
論理的に列挙される。
この手紙を受け取った世銀のディレクターが、一人の人間として、400万人の声
と10年の歳月をどう受け取るか、世銀という組織にいて、その組織の運営を左右
する人が、どう世銀を導くべき判断するか、非常に分かりやすい構図。組織に隠
れて個人の責任が不明確な日本の官僚なら胃潰瘍になる戦法かもしれない。

【ジャーナリストの視点】
一方で、8月6日に発刊された「Guardian」という雑誌には、「地球の敵・環境保
護主義者」という分析記事が出ている。上記とは別の、「IUCN」や「WCS」といっ
た国際環境NGOが、ダム建設による環境への破壊的な影響を認識しつつも、ダム
水没予定地に住む原住民達の農耕や狩猟が、貴重な野生生物に影響を与えるから、
IUCNは伝統的な農法をやめること、WCSはその付近から全員を移住させてしまう
ことを望んでいるようだとして、非難しているのだ。結局、このジャーナリスト
George Monbiotも、ダム建設に反対ではある。
世界銀行がこのプロジェクトの債務補償をするしないで、建設が促進されるかど
うかの分かれ目になる。IUCNとWCSは、世銀に債務補償をさせるための信頼性を
与えていると指摘。さらに、IUCNは世銀から6500万ドルを「適正なマネジメント」
を理由に要求している事実を指摘している。

【はたまた】
はたまたオーストラリアの海外援助を監視しているNGO「AID WATCH」は、ASEAN
とナム・タム2事業と、オーストラリアのゼネコンと、世銀の関係と、今後の動
向予測をしている。

3つを合わせ読んでいると、目がクラクラしてくる。3月にアメリカに行ってい
た獅フ研修先の非営利団体「The Nautilus Institue」から与えられた私の正式
な使命は、メコン川流域のダム開発に関する情報を収集し、発信することだった。
しかし、実際はシコシコと日本のダム関連情報を英文化していた。
そのせいもあって、3週間かけて確実に分かったのは、メコン川流域6ヶ国(中
国、ベトナム、タイ、ビルマ、マレーシア、ラオス)のスタンス、計画されてい
る無数のプロジェクト、これまでの失敗プロジェクトや経緯、開発を狙っている
先進国の企業、その後ろの数ヶ国の政府、世銀やアジア開発銀行などの資金源
(債務補償機関)、それに加えて異論を唱えている国際NGOの主張と戦略、、、
を正確に理解するのは、私の理解速度と研修期間では不可能だということだった
(^_^;)。
その縁で、NautilusやIRNは、メコン情報を送り続けてくれるのだが、お返しに
木頭村情報をしっかと送りつけてくれるわい!と思いつつ、相変らず量でも質で
も負けている。
まさのあつこ