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ダム日記351(奇跡って起きる)←  1997年 11月 2日  →ダム日記353(村長現わる)

∞∞ダム日記352(金の卵「西村」)∞∞

11月2日(日)
「テレビやパソコン通信などで、日本の山河が壊され、それにより地域社会が壊
されていっているというのを知るにつけ、なんでそうなるのかなぁというのが僕
の関心です。何故そうなるのか考える時、色々な観点からのアプローチがあると
思いますが、僕はたまたま経済を勉強したこともあって、経済・財政の仕組みに
問題があるんじゃないかと考えてきたわけです。」

「木頭村は例外でした。村の人が結束して反対の立場を固持したわけですが、ずっ
と反対を続けたにもかかわらず、なんらかの理由で最終的に(ダム)賛成に変わっ
てしまった、それが今日取り上げさせてもらうことにった苫田ダムです。」

「地元でどういう議論によりダム賛成に変わっていくかというと、ダムにより地
域活性ができるということ、これは常識には反するというか、僕は率直に、ダム
はそもそも地域にマイナスの影響を与える、水没をするわけですから、地域にとっ
ては悪いものです。にも関わらず、何故か賛成派が増えてくる過程で、地域活性
ができるとなる。しまいにダムなしでは、地域活性化はできない、ダムが地域活
性化の最後の切り札だとなる。なぜそうなるのか。大規模ダムの場合ですが、付
随的に公共事業がくっついてくるという制度があるためではないか。それが今日
のテーマのひとつです。」

「もうひとつのテーマ。下流に住む人間に、例えば諌早の時もそうだったが『都
会の者が口出しするな』という意見があるような気がします。本当にそうなのか
を数字で出したいと思った。数字で出すと圧倒的に私達のお金が使われている。
だから私達は口出しをする権利がある、という言い方が悪ければ、もっと関心を
持たなくてはと思ったわけです。つまり私たちの税金によって、地域社会を壊し
たり、自然を壊したりに貢献してしまっていることを認識しなくちゃいけないん
じゃないかと思った。そんなわけで今日のレジメを作りました」

見事なセミナーでした。10月31日、木頭村の未来を考える会第3回セミナー「ダ
ムを造るためのお金はどこから?どんな法律から?」。上記はその前置きの要約。

お話いただいた内容の項目だけを書き出します。
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【ダム建設を止めるための経済的・財政的アプローチ】
はじめに
1、ダム事業の経済評価について
2、ダム事業と財政支出(苫田ダムを事例に)
  2.1ダム事業費
  2.2水源地域対策費
    2.2.1 水源地域対策とは
    2.2.2 水源地域対策特別措置法
    2.2.3 水源地域対策基金
    2.2.4 水源地域対策制度の問題点の整理
    2.2.5 その他の「水源地域対策」
  2.3水道事業費
    2.3.1 苫田ダムにおける水道事業の概要
    2.3.2 利水事業の費用負担について
    2.3.3 利水事業の問題点の整理
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「彼はあれで論文が書ける」と元大学院生である「相模川キャンプインシンポジ
ウム」の金尾さんが感想をもらす内容でした。
ダム問題を勉強している某大新聞の記者も「本当ならウチがこういう調査をきち
んとして書かねばならん」と鼻息高くうなり、同様の問題を追いかけている土木
エンジニアやジャーナリストらが、前のめりで細かな質問を飛ばすにつけ、西村
講師は京都から持参した7キロくらいはあろうかというような資料の山から的確
に分かる部分をお答えするという充実のセミナーでした。まさに彼はブレイン。

西村講師が最後につけた総括表で、私たち国民の一人一人が、現時点において、
「すでに」皆1,050円分、苫田の下に沈む奥津町の地域社会を壊すことに貢献し
ていることが分かりました。この額は、これから建設費がかさむにつれ増えてい
きます。

「その千円が易いと考えるか高いと考えるか。苫田ダムができてしまうとすれば、
僕たちはこれだけの責任があることを知るべきだ。僕達は口出しをする権利があ
る」

西村さんの調べにより、1957年に59億円と言われ、1990年に1350億円と変更され
た苫田ダム建設事業費(1997年現在1200億円の予算を消化し、いまだ本体工事に
着工していない)だけですでに国民ひとりの責任が「千円」であるとすれば、こ
れまでに一体、どれだけの地域社会の破壊に、私達は加担してきたことか。ダム、
道路、干拓、、、、それらをすべて合わせた数字を見たら、私達は口出ししなけ
ればならないことがうむを言わさず納得させれれる。
「西村さんの研究を育てなければ」と思った。生まれて初めて、学者を育てたり、
守ったりする責任が社会にあることを実感した。

今回は、第1回と2回のセミナーで稼いだ資料代の中から、京都からの交通費だ
けしかお支払することしかできなかった。私の手元に今、西村さんが京都大学生
活共同組合で買った夜行バス「ドリーム号」往復切符の「¥17,540」のレシート
がとりあえず輝いている。早く適性な講師料が出せるNPOにしよう。早くそうなっ
て、西村さんの研究を陰ながら応援できるようになりたい。

今ふと、アメリカのNPOは、特定のテーマを研究している学者に特定の課題を依
託をして、必要な知識やデータを手に入れ、その研究を社会に広める役割も担っ
ていることに思い至った。そうだ。これはその第一歩だ。私が進もうとしている
方向は間違っていない。動物的な勘で西村さんをスカウトしたのだが、私の知ら
ない部分でそれが結構、理論的に動いているらしいことを知って、我ながら嬉し
くなったヽ(^。^)ノ。

今回、時間の融通が聞かず、ダム日記でお知らせする以外に連絡している人の3
分の1しか連絡ができなかった。にも関わらず、11人の参加者を得た。ちゃんと
連絡ができていれば30人の人に聞けてもらえたセミナーだったのに、とても残念
な、申し訳ないことをした。告知方法を改善しよう。今回の唯一の反省点はこれ
だ。
忙しさにかまけて第2回セミナーのレジメ送付がまだ終わっていません。3回目
のレジメと合わせてお送りします。ごめんなさいm(_ _)m。会計報告は次回に。
長文で失礼。

まさのあつこ