TOP 1-100 101 - 200 201 - 300 301 - 400 401 - 500
ダム日記362(ゼロ成長)←  1997年 12月 24日  →ダム日記364(序曲から主旋律)

∞∞ダム日記363(メディアワーク大転載)∞∞

12月24日(水)
メリークリスマス。私は超・恵まれている。その恵を皆さんと分かち合うことが
できるとき至福を感じます。常日頃、私があまりにヨレヨレしているので、ダム
日記を半分ハラハラして読んでいる環境のプロがいてくれたりする。そのおかげ
で、変なことを言おうものなら、ここぞという時にちゃんと正しい知識が飛んで
くる。ありがたいことです(^_^)。
以下、ニフティサーブの「自然環境フォーラム(FENV)」でシステムオペレータ
を長年していらっしゃる「猫が好き♪」さんが、「メディアワーク」に関して送っ
てくださったメールの転載許可をいただいましたので、少し長いですが、シェア
したいと思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
まさの さま

 NGO からの意識してのメディアワークは、規模としては今回のものが今のとこ
ろ最大のものだったと思うのですが、ぼくが知る限りで気候フォーラムのものは
3回目のものにあたるのではないかと思います。

 最初のものは、1992年だったかな、の CITES京都会議で「動物会議」が行った
もの。この記録は、動物会議が「ルームEの仲間たち」という本にまとめていま
す。
 二度目のものは、1993年に、グリーンピース・ジャパンが IWC京都会議をメイ
ンターゲットとして展開したもの。半年近いリードタイムを取り、ナショナリス
ティックな反・反捕鯨報道を絶滅させることを目標としていました。捕鯨班のチー
フは舟橋直子でしたが、舟橋はメディアワークにはほとんどかかわっていなかっ
たので、事実上のチーフが桜井淳子、セカンドがぼくでした。このプロジェクト
は1994年のプエルトバジャルタ会議にも続き、わずか2年間で、捕鯨関連報道の
流れを一変させることに成功しました。
 そして今度のものが3度目であり、過去の経験をふまえて最大規模の布陣を敷
いたという感じでしょうか。

 ま、メディアワークといってもいろいろな面があり、普段の活動だってメディ
アワークのうちとも言えるわけですけど、やぱし「メディア対応を主眼に置く」
かどうかで効果は全然異なって来ますからね。そういう意味では、徐々にこういっ
た意識のありようが NGOに根付いて来ていることを嬉しく思うし、またそういっ
た活動経験をより多くの人がシェアできるといいなあ、とも思っています。

 なお、CITES のフォートローダデール会議(1996年)の反省とジンバブエ会議
(1997年)への対策をかねて行われた会議でのぼくの発言をまとめたファイルが
ありますので、お目にかけます。

|- FENV  MES(10):●環境分科会 未来への海図13・北極海 |#383   SDI00600  猫が好き♪        参加>国際会議での日本人NGOの役割
|(10)   97/01/31 09:39  007へのコメント
|
| 昨年12月17日に、新宿で CITES(ワシントン条約)締約国会議に向けての打
|合せの会議が開かれました。その席上でぼくが言ったことを、まとめておこう
|と思います。
|
|    *
|
| 国際会議に NGOとして参加する場合ですが、いろいろな役割を果たすことが
|できます。その中で、「日本人が参加することの意味」というのは、どんなも
|のがあり、どういう方法が考えられるのか。そのことに関する私見です。
| なお、ぼくは自費参加以外では、日本政府とは敵対的な会議にしか参加した
|ことがないんで、基本的には「日本政府とは深刻な対立がある場合」を想定し
|て考えてます(CITES に関しても、われわれと日本政府との間には深刻な対立
|があるとぼくは認識しており、であるがゆえにそういう話をしたわけ)。
|
| 一般に、国際会議への NGOの参加というと、「ロビイング」というのがあり
|ます。主として各国の代表団に、ロビーなどでアプローチをして、その意志決
|定に影響を与えるというのが「ロビイング」です。資料提供などをする場合も
|ありますし、意志決定のための会議への参加を求められることもあるようです
|し、しまいにゃ代表団の中にはいってしまう人もいたりします(ここらへんま
|で来たら「ロビイング」とは言わないよーな気もするが、ロビイングの方法論
|などに関してはあたしゃ詳しくないんでパス)。
| ところがまあなんというか、日本人が参加する場合、語学が苦手な人が多く
|なかなか対等に喋れないとか(*1)、そもそもが NGOの能力不足もあって各国代
|表団の意志決定を左右できるところまでたどりつけないとか、いろんな問題が
|あるわけです。となると、単に「観光旅行にいっただけ」に終わってしまう可
|能性もあると(=^_^;=)。ま、自費で行ってる分にはどうでもいいんですが、組
|織として送り出すとか、派遣費をみんなで出し合うとかってことになると、そ
|うそう鷹揚なコト言ってらんないので、じゃあどうしたもんだろうかというの
|が本論です。
|
|*1 なお、ぼくは英語はほとんどできませんが、全然できないわけではなくて、

|  ある程度読み書きはできます。たぶんぼく程度のところまでなら、大学を
|  出たくらいの人なら、3ヵ月で来ることができるはず。その程度の語学力
|  を基準に書いてます。
|
| という状況の中で、んじゃ現場に行った日本人にはなにができるのか。
|
| まず第一に、日本側情報のチェックができます。
| 日本側情報とは、日本政府代表団などがどう考えているかといったことに関
|する情報です。日本政府代表団からの英語情報と日本語情報とはかなり食い違
|っていることがある。だから、日本語情報をチェックすることは、とても大事
|なことになる。
| このためには、プレスブリーフィング情報・日本人記者向けに出される文書
|なども参考になるし、こちらから提供ができる情報があるならば日本人記者と
|会話をしてシェアするといった方法もあります。そういったものを適宜現地で
|収集するということは、日本語に堪能な者にしかできないことです。
| あとはそれを、現地で英語に堪能な日本人に渡すとか、日本に送稿して後方
|援助部隊経由で各国の団体にシェアするとか、いろいろな手が考えられます。
| これらの情報(特に記者が持っている情報)は、日本の世論を左右するもの
|ですし、日本政府代表団の意志決定や、あるいは日本政府代表団の意志表示を
|各国代表団がどう理解するかといった側面で、非常に重要なものとなります。
|
| 第二に、日本人記者への情報提供ができます。
| 現場に派遣されてくる日本人記者は、基本的には現地の言葉や会議公用語に
|は堪能な人ではありますが、それでもどうしても情報収集は日本語に偏る傾向
|があります。そこに、「日本語による日本政府のプレスブリーフィング」など
|が情報操作の舞台となる温床がある。実際の会議の内容とは微妙にズレた説明
|をするとか、日本側の見解を強調するとかいう方法で、日本政府は日本人記者
|への情報のコントロールを行いますし、その結果日本のマスメディアが報じる
|情報が歪みます。日本のメディアに流れる記事が、会議の流れから大きく隔た
|っていることがあったり、不当にナショナリズムをあおるものになっているこ
|とがあったりするのは、しばしば指摘されるところです(*2)。
| じゃあどうすればいいのかというと、こちら側も逆に、日本語で記者にアプ
|ローチをし、日本語で情報を提供すればいいわけです。
| 現地で、他の NGOスタッフなどから情報をもらって流してもいいし、日本の
|後方支援部隊経由でもらった情報を流してもいいのだけど、「日本政府とは違
|う立場の者からの、日本語の情報」を現地で流すというのは、それなりに意味
|があることです。
| こうすることによって、日本の世論がなんかおかしな方向に引きずられるこ
|とを多少は押しとどめることができる。それは、積み重なれば、日本政府代表
|団が国際会議の席上であまりアホな主張をしないようにおさえることができる
|ようになることにもつながることだと思うわけです。
|
|*2 現場であまりアホなことを喋らせないようにする方法も別途考えています
|  が、それは奥の手なのでナイショ(=^_^;=)。もっとも、すでに一回使った
|  手ではある。
|
| 第三に、日本側の状況を各国代表団に伝えることができる。
| 日本政府代表団が現場で言うことと、日本政府が考えていることとは、必ず
|しも一致しません。代表団のメンバーが言う派手な言動を、本国の外務省が頭
|を抱えて眺めているというような状況も、しばしばあるように思われます。ま
|あ第三世界の代表団あたりだと現場で買収されてるところまであったりするわ
|けですが(=^_^;=)、日本の場合も、「自省庁の利益」を代表することを義務づ
|けられている代表団と、外務省の利害とは、必ずしも一致しないんですね。ま
|た、代表団の主張と、世論とも、一致しないことがままあります。
| 従って、現地の代表団の主張のほかに、「東京発」の官公庁情報や「日本発」

|の世論の情報があると、いろいろと面白いことが起きたりするわけです。
| これはおれの勲章だと自分で思ってるから何度でも言うのだけど、IWC のプ
|エルト・バジャルタ会議(1994年)で、日本政府代表団は「サンクチュアリが
|通ったら日本は IWCから脱退する」と繰り返していました。んだけどいざ投票
|という直前になって、外務省は「脱退しない」という声明を発表しています。
|現場で熱くなっちゃってる代表団と、捕鯨問題ごときで国益(他の分野の貿易
|など)を害されてはかなわんと思っている外務省との対立ですね。日本以外の
|どこも日本に同調しなかったという、日本の「歴史的孤立」が、その外務省情
|報をギリギリで流せたせいかどうかはわからないけれども、「サンクチュアリ
|が通っても日本は IWCから脱退しない」という情報は、とても歓迎されていた
|ように思います。
|
|   *
|
| なんていうのかな。
| ぼくらの国は、国際社会の中でとても大きな力を持っており、また恥ずかし
|いことに、環境破壊大国としても有名な国であったりする。そういう国から国
|際会議にでかけるとき、「この国に住む者」でなければできない役割というの
|があると思うし、非力ながらやれることはいろいろあるんじゃないかと思う。
| 諸外国の NGOと同じような活動を目指すのではなく、諸外国の NGOとは上手
|に棲み分けをしながら、ぼくらにしか出来ないことをさがして全体としてのパ
|ワーアップを目指すこと。そういう観点が、これからの「日本の NGOからの、
|国際会議への参加」には求められるんじゃないかというようなことを、いまぼ
|くは考えています。

 もちろん、本来ならばわれわれ NGOはロビイングをメインにやるべきなのだが、
ロビイングをきっちりやり切れるほどの力がまだないのも事実。結果として国際
会議への参加が物見遊山に終わってしまうケースが散見されます。だったら具体
的には何ができるのか、ということを考えたとき、ぼくは「まずはメディアワー
ク」だと思うんですね。
 これはだから、「ロビイング」という要素をとりあえず横においての話である
わけですが、NGO の存在意義って意味ではそれなりに重要な論点であり、また参
加者がこういった意識をちゃんと持っているかどうかで国内世論の流れは変えら
れる可能性がある(少なくともメディアの論調は変えられる可能性がある)と、
ぼくは思っています。

 なんかのご参考になれば幸いです。

     by 猫が好き♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 日本には凄い人がたくさんいて、自分の気づかない所に知識が蓄えられている
もんです。早く猫が好きさんの所へ教えを請いに行けばよかったと思いました。
日本で4番目のメディアワークを任される人は、これで、誰に何を聞けばいいか、
手掛かりができましたね。知恵と経験と人脈を分かち合うこと。これは誰もがで
きることなので、これからもやっていきたいです。メリークリスマス。

まさのあつこ