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∞∞ダム日記371(建設相が知るべきこと)∞∞

1月25日(日)

国に自分の土地を取られる。
想像してみてください。今、あなたが住んでいるアパートやマンションや一軒家
に知らない人がやってきて、あなたを追い出す。「公共の福祉」という看板を下
げているが、一体なんのことだか分からない。あなたは聞きたいだろう。
「ソレは私のウチの幸せより大事なものですか?」

公共の福祉−−−ここしばらく、私はこの言葉がキライだ。

具体的に言いましょう。1月22日、岐阜県藤橋村の村長が、特殊法人水資源開発
公団のリクエストに応えて、「徳山ダム」建設のための土地明け渡しを拒否して
いた地権者達に対する土地収用手続き開始に同意してしまった。滑稽だ。長良川
河口堰で水は余っている。すぐその上流に水資源開発公団がダムを作って水を取
るという。あなただったら納得しますか?

ダムを作ることが存在目的である水資源開発公団が、強制収用をちらつかせるの
はまだ分かる。が、住民の自由と権利を一番に尊重し、強大な権力から住民を守
らなければならない村の村長が、土地収用手続き開始に率先して同意してしまっ
た。

しかも、この人は、この人に対するリコール運動の最中に辞意を表明し、この日
は、村長を辞職する日だった。そんな卑劣なことをする人がこの世にいるなんて!


共同通信の報道を読むと、公団は「あくまで任意交渉による用地取得に全力を挙
げる」という。藤橋村の島中村長リコールの原因はまさに「徳山ダム」計画に対
する島中氏の姿勢だった。村民の意志を確認する前段階にあった「元村長」のとっ
た手続きを、水資源開発公団は単なる手続きとして事務的な処理をしている場合
ではない。

徳山ダムには、来年度予算案として「本体工事費」が入っている。おかしなこと
だ。地権者の同意がないままで、本体工事の予算が大蔵省によって認められるな
んて。「徳山ダム事業審議委員会」は一体何だったのか。何も解決しないまま、
よりによって「強制収用」という形で、失敗が吹き出してきた。

建設大臣の瓦力(かわらつとむ)氏は、ただちにこの問題の根深さを把握すべき
だ。
ダム審議委員会の通達を出した建設省河川局長は、責任を自覚すべきだ。

これもまた共同通信の報道によれば、水資源開発公団は、「水没予定地で公共施
設などを管理している国、県、電力会社などに対しても同様の照会作業を進めて
おり、同意の回答が出そろい次第、年度内にも事業認定を申請したい考えだ」と
いう。また、「事業認定されれば、同公団は県収用委員会に裁決申請し本格的に
土地収用に乗り出すことが可能になる。」申請する先は建設大臣だとも書いてあ
る。大臣がYESと認めない限りは、この手続きは無効だということだ。

市民側からの説明がなければ、大臣はすんなりハンコを押してしまうかもしれな
い。建設省や県や特殊法人・水資源開発公団からの、「法的な手続きは済んでい
ます」というような事務的な説明で、この土地収用が認められてしまうのだ。そ
して一端認められてしまうと、今度は「大臣の許可があるから」と走るのだ。

一方で、予算はもうそこまで来ている。
法的手続きを着々と進め、立法府に承認させる。
土地収用に関し、大臣がろくに説明も受けずにハンコを押すと、これでGOだ。
おそろしい仕組みで、この国の予算は動いている。

市民が、地元の政治家や行政を監視し、国会をチェック機構として利用しなけれ
ば。誰も完璧な人はいない。すべてを知っている人はいない。だから、気づいた
人が、どんどん、事実を知らせなければならない。
それにしてもあまりにエネルギーがかかり過ぎる。例えば、ひとつの機関でいい。
例えば、ダム審議委員会がきちんと機能していれば、市民は正式な場で、問題点
を明らかにすることができるのに。
なぜ、市民が偽政者に対して問題点を明らかにする正式な場がひとつもないのか?
確保されないのか?(闘うことによって奪わなければならないのか?)

徳山ダム建設中止を求める会は1月23日、抗議声明を出した。
「水資源開発公団がこうした不適切な文書を受け取ったことにも強く抗議し、こ
の文書を藤橋村に返却することを要求する」

まさのあつこ