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ダム日記447(神奈川県民)←  1998年 9月 3日  →ダム日記449(Law Maker)

∞∞ダム日記448(1日目)∞∞

9月2日(水)
昨日から、衆議院議員・佐藤謙一郎(民主党環境部会長)の「環境」と「公共事
業」政策担当の秘書になる。9月、つまり昨日(9月1日)からの仕事にそなえて、
8月末の週に仕事の間隙を縫って3日間、議員会館に詰めた。仕事に慣れるには
時間がかかる。「慣れる」時間がもったいない。正式な仕事が始まる時には、す
でに「秘書」でいたかった。

その1日目。流れてくる情報のあまりの多さに驚き、自信を失った。
夜、活動仲間に電話をかける。
「全然だめだ。官僚からの情報が多すぎる。市民は今のままではだめだ。もっと
議員に働き掛けをしなければならない。運動をしている側として、『こんなに一
生懸命市民が訴えているのにどうして(議員は)分からないのだ!』と常に思っ
ていたが、いざ、永田町へ入ってみると、全然足りない。この中で自分の主張を
通すのは並大抵ではない。いまさらながらAさんは凄いと思う。あぁでなければ
動かなかったのだ。私はこれから人格が変わるもしれない。嫌な人間になるかも
しれない。自己主張をし続けなければ、永田町ではやりたいことができない。嫌
な人間になってもそれがダムのことをやるためだと分かってくれる?分からない
よね。嫌な人間になんかなりたくない。分かってもらえなくても嫌な人間になれ
るだろうか?」
昼、代議士は、議員会館の部屋を訪れる人々に、私を9月からの新しい「環境」
担当の秘書として紹介した。間隙を縫って、「環境基本法」「水質汚濁防止法」
「大気汚染防止法」「電気事業法」「化審法」を読む。法律は武器だ。
記事執筆のために8月中に「地方自治法」と「地方財政法」を読んだ時に気づい
たのだ(それを基礎に書いた相模大堰に関する原稿はどうやらボツになったが読
んだ甲斐はあった)。法律は市民の武器だ、と。今回「環境基本法」の「目的」
を読んだだけで、やはりそう思った。
「『環境基本法』だけでも守られるなら、日本の環境は守られる。それが守られ
ないのは何故か?市民が法律を読まないからだ。」
法律が面白くなさ過ぎるから読みたくないという人がいる。確かにそうだ。しか
し、法律を変えるためには、国会議員を使わなければならず、官僚を変えねばな
らない。そのためには、今、私達の世代で面白くなくても我慢して法律を読み、
それを改正していく努力を重ねていかなければ、永遠に官僚のペースで法律の
「改悪」が進み、次の世代に健全な法律を手渡すことができない。法律そのもの
を変えなければ、目の前の問題は、モグラ叩きで、こちらの命がいくつあっても
足りない。
「環境六法」を読むうちに「ひぇ〜。旧かなづかいのカタカナの法律がある〜!」
と先輩秘書に叫ぶと、「ありますよぉ。明治とかね、大正とかね」「え〜、そん
なんもあるんですかぁ?ええ加減に変え〜って感じですよねぇ」「ほんとにねぇ」

・・・書いていて気づいた。カタカナで書かれた古い法律、放置されたままの化
石のような法律は、ひょっとすると「官僚の都合」から遠い所にある法律ではな
いだろうか?「民法」なんかそうではないか?この仮説が本当かどうか、今後、
法律を読むときには、そんなことにも気をつけながら読もうと思う。
ちなみに、先輩秘書とは、机の前の本棚の3センチくらいの隙間で目を見合って
会話する。とても優しい先輩。頼れる。あれして、これして、と代議士を頼って
よく電話をかけてきた市民の私が後輩になるなんて思いもかけなかったに違いな
い。赤面したのは、過去に自分が代議士宛てに送ったファックス版の「ダム日記」
を見つけてしまった時だ。こんなものまでファイルしてくれなくても・・・。

8月、自主的見習日その2日目、先輩秘書が、「代議士ははずしていますが、環
境の担当は彼女なので、よかったら彼女に話を」と、突然訪れた市民団体を私に
紹介。テーブルにつき、代議士に代わってじっくり話を聞く。本格的かつ具体的
な取り組みをしている。聞き取った事実と課題をパソコンでまとめ、夕方、議員
に説明して判断を仰ぐ。ひとつの具体的な方針が採用された。自信がついた。小
さなことから重ねて行こう。それ以上に大切なことはないはずだ。焦らない焦ら
ない。
この日も、代議士は、ますます多くの人に私を9月からの「環境担当として私を
手伝ってくれる」と紹介する。覚悟が固まった。ただ、気が楽なことに(正式に
は9月からと、線を引いているので当たり前ではあるが)、現在動いている環境
関連法案は、民主党全体の環境担当スタッフが補佐の中心なので、彼を見習いな
がら将来図を研究(?)できる。早く彼のように信頼されるスタッフになりたい。
永田町と言えば彼を頼りにしてきたが、議員達も彼(栂坂さん)を頼りにしてい
るのを見て、「やっぱりそうか」と思った。市民団体にとって頼りになる人は、
議員にとっても頼りになるスタッフなのだ。

「国会図書館から資料を取り寄せたいんですが、どうすればいいんですか?」
議員部屋での私の先輩も大変で、私に5分に1つの質問をされては仕事の間がな
い。「またまた済みません」などと、あれこれ接続詞はつけるものの、嫌な顔ひ
とつせず、なんでも丁寧に教えてくれる。幸せな環境だ。 ちょっとした気のき
かせかた。気の使い方。雑っぱくな私の性格や人生にはない資質を先輩秘書は持っ
ている。そばにいれば自然に私にも身につくだろうか?そうだといいが。
国会図書館が立法補佐機関であることなどをすでに知りえていることは、ラッキー
としかいいようがない。思えば五十嵐敬喜教授の「立法学ゼミ」で勉強したこと
が、こんなふうに全部役に立つなんて、思いもかけなかった。不思議だが、前に
勉強したことや前の仕事は、いつも次の仕事に役立つ。書く技能は「代議士の時
間を節約するためにまとめること」に使い回せるし、通訳の技能は「市民団体の
効率的な口頭での訴えをメモに取り、議員が戻ってきた時に、その内容を復唱す
ること」にそのまま使える。磨いてきた自分の能力をフル回転できる仕事に出会
えたことはすでに嬉しい。あとは結果を出していくだけだ。

8月、自主的見習日その3日目。代議士から国会回りのことを少しづつ教えられ
る。忙しい代議士が、1日のうちで少しづつとは言え、直々にあれこれ教育して
くれるだなんて思ってもいなかったので感激をする。官僚からの情報がどんなに
沢山流れてきても、もう揺るがない。佐藤代議士とこの先輩秘書がいる限り、私
は嫌な人間にならずに、大切なことを、この町に伝えていけそうだ。私はもう大
丈夫。
午後に時々少しだけ手伝いに来ている女の子が「政野さんって何日目ですか?」
と聞く。「3日目」というと「凄いな」という。私も「凄い」と思う。1日目の
弱気がウソのように遠い過去に思えた。

9月1日(火)
朝、国会図書館から、頼んでいた資料が揃ったと連絡が入った。
「国会図書館ってどこでしたっけ〜?」機能は学習したが、方角には疎い。
数日前に話した市民団体に電話をかけ、議員の方針を伝える。
秘書1日目。慌ただしい中、すべてを吸収しながら、呼吸をするように仕事をす
る。夕方6時を過ぎ、ようやく課題に取り組む時間ができた。じっくり焦らず、
慌てず、身体を壊さず、楽しく。この仕事が好きだ。これまでの私のすべてを注
ぎ込むことができる。木頭村に感謝する。

まさのあつこ